教育費を借りる場合、銀行の教育ローンと奨学金、どっちがいいか?
銀行の教育ローンと、奨学金。教育費を借りるならどちらが良いか―。これは重視するポイントによって違います。以下、教育ローンと奨学金のメリット・デメリットを交えて比較していきます。
すぐ借りたい場合、教育ローンがおすすめ
たとえば入学金など「すぐに用意しなければいけない」というお金の場合、教育ローンがおすすめです。奨学金は、
- 決まった時期(主に春)しか申し込めない
- 振り込まれるのも夏以降
…となっているからです。つまり「申し込みも、実際の振り込みも、時期が限定されている」ということです。「いつでも借りれる」わけではないんですね。
これに対して、銀行の教育ローンは「年中いつでも申し込み可能」ですし、「最短2週間で借入可能」というスピードが魅力。特に入学金などの「急ぎで借りる必要がある」ケースでは、教育ローンを利用すべきでしょう。
成績が平均以下の場合、奨学金でなく教育ローン
奨学金は、成績に関する条件があります。「学業成績が平均水準以上」という条件なので、通知票でいうなら「オール3」あればOKでしょう。また、多少2が混ざっていても大丈夫なようです。
しかし、これに明らかに満たないという場合、奨学金は借りられない可能性があります。審査してから「借り入れ不可」となると、お金のやりくりに困るので、最初から教育ローンで申し込みした方がスムーズでしょう。
低金利で借りたい場合、断然奨学金
奨学金の最大のメリットは「低金利」ということ。日本政策金融公庫という公的機関が融資するのですから、当然ですね。両者の金利は、比較すれば一目瞭然です。
まず「固定金利」で比較しましょう。社会全体の金利がどれだけ変わっても、変わらない金利です。
- 奨学金…0.83%
- 教育ローン…4.8%
次に「変動金利」で比較しましょう。これは経済情勢によって変動しますが、「片方だけ上がる」ということは、まずありません。つまり、現時点でのこの差は、経済情勢が変わっても、そのままの比率を維持します(かなりの確率で)。
- 奨学金…0.3%
- 教育ローン…3.375%
…という風です。教育ローンはみずほ銀行のもので、それぞれのデータは「2013年11月」のものです。
こうしてみると、いかに奨学金が低金利かわかるでしょう。銀行カードローンも消費者金融などと比較すれば遥かに低金利ですが、それでも奨学金には負けます。
奨学金と教育ローンの比較については、以上です。ここからは、最近多い「奨学金は金利が高い」という批判について書きます。
公的機関の融資が、民間より高金利だったらおかしい
最近「奨学金はサラ金よりも金利が高い」という極論が増えていますが、こうして金利を冷静に比較すると、まったく違うことがわかるでしょう。そもそも、公的機関の融資が、民間より高金利という事態になったら、もっと良心的な知識人が声を上げているはずなのです。
(イメージとしては、養老孟司さんや五木寛之さんなど)
現時点で「奨学金の金利は悪質」と主張しているのは、主に無名な大学教授や、炎上狙いのブロガーの方などです。もしくは、それに釣られたツイッター民などです。
「奨学金は悪質」という主張は、なぜ生まれたか
人間は「自分に都合のいい情報だけを仕入れたがる」という性質があります。この「奨学金に対する批判」は、「大学は出たけど、まともな就職もなく、奨学金の返済に苦しんでいる」人たちの、恨みつらみが形を変えたもの…という考えもできます。
冷静にデータで分析すれば、明らかに違っていることを、多くの人が声高に主張している。そういう場合、必ず「感情」が背後にあるのです。その感情がこのケースでは何かと言ったら、
- 大学を出ても、低収入の仕事にしか就けない
- しかし、400万円の奨学金の返済はしないといけない
- 自分は、何のために大学に行ったのか
…ということでしょう。少々辛辣な見方かも知れませんが「数百万円の借金をしてまで大学に通った意味が見出せない」という怒りが、矛先を変えて日本政策金融公庫に向かっている…と見えなくもありません。
気持ちはわかりますが、この問題は、誰かのせいにするには規模が大きすぎます。日本人全体が「いい大学出て、終身雇用」という幻想に数十年も踊らされていたのですから、日本政策金融公庫だけを責めるのも、自分の両親や学校を責めるのも、少々酷でしょう。
とりあえず、現時点でゼロベースで状況を観察して、もしお金が欲しいなら「プライドとか見栄を捨てて、今一番稼げる方法は何か」を、冷静に考えた方がいいでしょう。