カードローンの借用書と契約書の違いは? ~内容と注意点のまとめ~
カードローンの借用書と契約書の違い。これは下の通りです。
- 借用書…借りた人だけの、署名と捺印
- 契約書…借りた方、貸す方、両方の署名と捺印
ということです。内容はどちらも同じで「両方がサインするか、片方だけか」というのが、一番大きな違いです。
借用書の詳しい説明
まず借用書の方から詳しく説明しましょう。借用書は「借用証書」とも呼ばれますが、意味は同じです。
先にも書いた通り、借用書の場合は「借りる人が、署名・捺印」するだけです。そのため、簡単でいいのですが、簡単な分法的な効力は弱くなります。
契約書とは ~詳しい説明~
キャッシングでの契約書とは、正確には「金銭消費賃借契約書」といいます。別に世間全般で「契約書=金銭消費賃借契約書」となっているわけではありません。ただ、カードローン審査の世界ではこうなっている、ということです。
消費者金融でも銀行カードローンでも、この契約書は、原本と副本という2種類が用意されます。原本、副本というと「どちらかの方が格上」のように聞こえますが、別にそうではありません。
- 原本…債権者(消費者金融側が持つ)
- 副本…債務者(借り手・利用者側が持つ)
という風です。契約書で人間のことを「甲と乙」で読んでいるように、原本・副本という名前をつけているだけのこと…、と思ってください。
書類が一通だけの時は、借用書を作成
借用書と契約書のどちらを作成するかですが、一番多いパターンは下の通りです。
- 1通だけ作成する…借用書
- 2通作成する…借用書と契約書
という風です。契約書の方が負担が大きいので、2通作成する時のみ、となっているわけですね。
返済期限のない借用書は無効
借用書を個人間で作る時、注意する点があります。それは必ず返済期限を明記すること。返済期間が定まっていない借用書は「贈与」と見なされるからです。
贈与ということは、つまり「そのお金はあげた」というのと同じですね。信じられないかも知れませんが、「返済期限が書いていなかった」というだけで、それはもう「借金」ではなくなってしまうのです。
しかし、これは冷静に考えればわかるでしょう。ジャイアンがよく言う「もらうんじゃねえ。永久に借りるだけだ」というのと同じです。永久に借りていいなら、それは「もらった」と同じなので「贈与」という考えが成立するのです。
こうしてみると、ジャイアンのあのセリフは、「民法587条に則った、法律学的に示唆に富んだセリフ」ということになります。藤子・F・不二雄先生がそれを計算されていたかどうかはわかりませんが、なかなか味わい深いですね。
借用書だけ勝手に作られた場合は?
自分の名前で借用書や契約書を勝手に作られた。そして、「お前、この借用書通り100万円借りたんだから、返済しろよ」と言われた―。
この場合、返済する義務はありません。本当に100万円借りたなら返済しなくてはいけませんが、お金を受け取っていないから、返済する必要はまったくないのです。
もちろん、相手が勝手に押し売りのように振り込んでくるということはあるかも知れません。しかし、その場合はそのお金をそっくりそのまま相手に返済すればいいのですから、特に問題ありません。
「返済を拒否する権利」というのは、どんな個人にもキャッシング業者にもないので、返済を拒まれることはありません。また、もし拒まれた場合、弁護士・司法書士などに相談して上手くやれば、「そのお金を、そっくりそのまま自分がもらえる」可能性もあります。
(何しろ、あちらが返済を拒否したのですから)
借用書を渡されたら、必ず内容を確認する
上にも書いた通り、返済期限などの不備がある借用書は、すべて無効となります。そのため、下のような詐欺も成り立ちます。
- Aさんが、あなたにお金を借りる
- 「借用書も渡します」と、Aさんが渡してきた
- しかし、その書類には不備があった
- よって、無効となった
- Aさんの借金は、なかったことになった
という風です。Aさんは「わざと不備のある借用書を作成した」わけですね。こういう詐欺を喰らわないように、相手から借用書を渡されたら、内容をしっかりチェックすることが重要です。そうして不備のない書類だったら、受け取りましょう。
また、一番いいのは「融資する自分の側が作成」し、「二人で署名・捺印する契約書」にすることです。契約書の方が法的効力も強いですし、自分で作成したなら不備もなく、騙されることもないのでおすすめです。