任意整理と特定調停の違いは?キャッシングの債務整理にはどっちがいい?
キャッシングの債務整理の中でも、特に似ているのが「任意整理」と「特定調停」です。両者は何が違うのか。結論は下の通りです。
- 任意整理…専門家に依頼する
- 特定調停…自分でやる
そして、ここから生まれる違い、それぞれのメリット・デメリットがいくつかあります。それらをまとめていきます。
費用がかからないのは特定調停
上にも書いた通り、特定調停は任意整理と違って「自分でやる」もの。そのため、当然費用がかかりません。裁判所で書類に貼り付ける収入印紙などの料金はありますが、せいぜい「一業者あたり1000円」くらいのものです。
ということで、特定調停はほとんど料金がかかりません。反面、任意整理は司法書士・行政書士・弁護士などの専門家に依頼するので、これらの人々に支払う料金が必要になります。
簡単なのは任意整理
当然ですが、代理人(専門家)に依頼する以上、簡単なのは任意整理の方です。特に借入件数が多く借入総額が多いほど、債務整理の手続きは複雑になります。
そういう複雑な場面では、特に任意整理の方が有利になるでしょう。最近は、専門家の任意整理の代行料金もかなり安くなっています。デフレの波が士業にも押し寄せているので、どうしても低料金でしか運営できないのです。
専門家にとっては大変なことでしょうが、我々消費者にとってはありがたいことです。そのため、お金がかかるといってもそれほど大した金額ではない、ということは知っておいてください。
家族に内緒でできるのは、任意整理
また、家族にバレないで債務整理したい―。という場合にも任意整理の方が有利です。
理由は、特定調停の場合「自分が窓口」になるので、すべての業者・ブランド・銀行・裁判所からの連絡が、自宅あてに来るのです。携帯電話を連絡先に指定することもできますが、郵便物は避けられないですし、固定電話の方が信用性があるので、特に最初の電話などは、自宅の固定電話にかかって来ることが多いです。
また、貸金業者によっては嫌がらせとして自宅に電話することもあります。本当はこういう「第三者に借金の事実を知らせる」ことは、貸金業法・銀行法に違反しているのですが、そこまで利用者は知らないということで、「債務整理に対する仕返し」として、こういうことをするカードローン業者もいるのです。
(大手ではまずあり得ませんが)
ということで「家族にバレないように、借金を整理したい」という場合、特定調停ではなく任意整理を選択するようにしましょう。
任意整理をするための条件
任意整理をするには、1つ条件があります。それは「キャッシング総額を、3年以内に返済できる」ということ。借金を減額するにしても、利息を減らすにしても、その後確定した金額を、3年以内に完済できる、という人のみ任意整理をできるのです。
もし3年以内に完済できなかったら、その時の遅延損害金など、ペナルティはかなり大きいと思ってください。任意整理をする時点で、すでに「当初の借金より、だいぶ負けてもらっている」わけですからね。
もし3年以内に返済できる自信がない、あるいは自信があっても能力がないと判断された場合…。これは任意整理できないので、その他の債務整理を検討することになります。
特定調停は、住所がわかる業者しかできない
特定調停で整理する業者は「住所がわかる業者」のみに限定されています。裁判所からの郵便物などを、そこの業者の住所に郵送する必要があるからです。
住所がわかるなんて当たり前じゃん?と思うかも知れません。しかし、いわゆる090金融など「携帯電話しか持っていない街金業者も存在するのです。
こういう街金業者から借り入れしている場合は、残念ながら特定調停は利用できません。しかし、任意整理なら「受任通知」という連絡を、電話だけでできるので、090金融でもOKです。
(彼らが着信拒否をずっとしていたら別ですが、それだったら、あちらが督促で電話をかけてきた時に、こちらから受任通知の内容を説明すればいいだけです。
任意整理の方が、得られる利益が大きい
基本的に、依頼料金がかかる分、任意整理の方が得られるメリットが大きいです。たとえば「借金の減額」だけを依頼した場合も、彼らは同時にいろいろやってくれます。
たとえば、過払い金の計算(利息制限法の引き直し計算)や、取引履歴の開示請求とチェック…といった作業です。
自分でこういうことまで全部やるのは大変ですが、司法書士・弁護士などに依頼すれば、すべてまとめてやってくれるわけです。もちろんその分の代行料金が追加で発生する専門家と、そうでない専門家があるでしょう。
この点は確認が必要ですが、もし依頼料金が変わらないようであれば、ぜひ歯医者の総合健診のように、まとめて全部チェックしてもらいましょう。