借金している本人の代わりに、家族が内緒で返済できる?
借金している本人に内緒で、代わりに返済する―。これはできません。理由は、法律で「債務者の意思に反する弁済はできない」と決められているからです。
ただ、現実には多くのカードローンやクレジットカードの場合、下のような手順で返済ができます。
- ATMにカードを挿入する
- 返済する金額を現金で入れる
- 返済完了
これだけです。特に電話などのやり取りがあるわけではありません。そのため、「家族が返済しようと思えば、できる」という指摘もあります。
カードの暗証番号が必要なので、無理
このようにATMで返済するのは、確かに「本人でなくてもできる」方法です。ただ、本人に内緒で返済するには「暗証番号を探る」必要があります。
本人の許可を得ているなら、本人から教えてもらうだけですが、そうでなければ暗証番号を当てるのは難しいでしょう。家族の場合、他のサービスの暗証番号を知っていれば、その応用で行けるかも知れません。
しかし、いくら家族でも勝手に暗証番号を入力するのは良くないので、この方法で代わりに返済することは、おすすめできません。
本人確認が必要な返済の場合
大手の消費者金融などではあまりありませんが、中小の貸金業者など「本人であると確認できなければ、返済・借入のどちらも受け付けない」という場合があります。
この場合、「○○万円返済します」と言っても、「これは本人ではないな」と思われたら、「では、折り返し山田様の携帯電話に確認電話をかけさせていただきます」となります。
そして、その携帯電話に本人が出て、代わりの返済に特に問題ないことがわかったら、それでOKとなります。しかし、そこで「聞いていない」と本人が言ったら、それでNGとなります。
なぜ代わりの返済がいけないのか?
代わりの返済が禁止されている理由は「それを元に、恩を着せてたかりをする」という悪徳な人物がたまにいるからです。こうしたことを禁止するために、最初から「本人に無断で内緒で返済する」ということ自体、できないようにしているわけです。
家族でも同じです。家族は、感情的には他人でなくても、法的には大体他人のようなものなのです。ということで、家族に対しても上のような発想で「内緒の返済は禁止した方がいい」となっているわけですね。
正式な代位弁済も避けた方がいい
また、正式に本人から許可を取って「代位弁済する」という場合も、やはりやめた方がいいです。というのは、代位弁済はクレジットヒストリーで事故情報として記録されるからです。
つまり、代位弁済というのは「個人信用情報のマイナスになる」わけですね。
- 重度の遅延・延滞
- 虚偽の申請
- 強制解約・退会
- 債務整理
などと同じく「返済トラブル」として個人信用情報に記録されるのです。当然、その後の本人のカードローン審査や住宅ローンの審査、クレジットカードの入会などあらゆる点でマイナスに働く(ことが多い)ので、代位弁済は基本的にしない方がいいでしょう。
何より、精神的にやめた方がいい
そもそも、このようにクレジットヒストリーの問題を抜きにして「精神的にも」家族が代わりに返済することは辞めた方がいいでしょう。というのは、大きな借金を背負って、それを返済するというのは、大きなプラスの体験になるからです。
事実、経済的に成功した人のほとんどは、何らかの借金をした経験があります。事業用は当然ですが、個人の生活費でも、かなりの借金をしていたという人が多いです。
そういう生活をしていると、当然貧乏なために屈辱も味わうし、不便な思いも山程するのですが、だからこそ「もう二度と貧乏はしたくない」と思い、稼ぐ原動力になるのです。
コンフォートゾーンを抜けることが大切
これは自己啓発でよく言われていることで、胡散臭さを感じる人もいるかも知れませんが、やはり事実です。(自己啓発の人たちも、一応言っていることは事実なのです)。
お金に関することだけでなく、やはり人間の成長は「コンフォートゾーン(快適なエリア)」を抜け出すことでもたらされるものです。毛沢東が「革命家の条件」として、
- 若く
- 貧しく
- 無名である
という有名な言葉を残しているのも、同じことを言っています。人間のハングリーさは、快適な環境では得られないのです(科学的には、危険な時に分泌されるサーチュイン遺伝子という物質が、人間の潜在能力を高く伸ばすと言われています)
ということで、そういう本人の強さを切り開く上でも、キャッシングで多重債務に陥っている状態をマイナスととらえず「獅子の子供を千尋の谷に突き落とす」ようなつもりで、自力返済させるのがいいかと思います。