未成年者の契約取り消し権とは ~10代の場合、借金の返済義務がない?~
未成年者には「契約取り消し権」というものがあります。文字通り「未成年者の契約を、取り消しできる」権利ですね。これはキャッシングにも使えます。つまり「借金を返済しなくていい」のです。
未成年者の契約取消権が認められる条件
下の条件を満たしていれば、取消権が認められます。
- 契約時に未成年だった
- 契約者に、結婚の経験がなかった
- 法定代理人(親など)が同意していなかった
…という条件です。逆に言えば、下の条件だと「契約取り消し権は、発生しない」ということになります。つまり、返済しないといけません。
- 契約時、20才以上だった(当たり前)
- 契約時に結婚していた(以前にしていた)
- 法定代理人が同意した
特に重要なのは最後の「法定代理人」です。つまり「親の同意があった」という場合、それは返済しなければいけないんですね。そのための同意ですから。
その他、下のようなケースでも取消権は無効になります。
- 未成年者が、嘘をついていた
- 未成年者が、親権者の同意書を偽造した
両方と同じと思われるかも知れませんが、後者は「親権者の同意」に関してのみの嘘です。前者は「嘘全般」です。年齢の詐称でも、学歴の詐称でもすべてです。
嘘の内容にもよりますが「虚偽の申請をする」という時点で、「そのキャッシング自体を、悪意を持ってしていた」と判断されます。ということで、この場合は取消権は無効になることが多いです。
契約取り消し権があるから、10代・未成年は借りにくい
このような「未成年者の契約取消権」があるため、多くのカードローン業者は、10代・未成年者への融資に慎重になります。それは当然ですよね。踏み倒されても、文句を言えないかもしれないのですから。
「親権者の同意書を必須にすればいいじゃん」と思われるかも知れません。その通りですが、それでも下のようなデメリットがあります。
- 審査が面倒である
- 親権者の同意書が、偽造されているかも知れない
- 偽造されていた場合、返済してもらえるかわからない
- そもそも、未成年者は遅延・延滞が多い
…ということです。一言で言うと「面倒」ということですね。面倒というといい加減なようですが、企業にとっての面倒=「コスト」です。
- コストが増える
- その分を、どこかで回収しなくてはいけない
- 金利が高くなる
…ということで、これは多くの利用者にとってマイナスなんですね。そのため、利用者全体の利益を考えると「10代・未成年には融資しない」という方針の方がいいのです。
つまり、貸金業者は意地悪として、10代・未成年者へのキャッシングをしていないわけではありません。すべての利用者のことを考えた時、10代には融資しない方がいいのです。
契約取り消し権は、普通の買い物でも使える
ちなみに、この「未成年者の契約取消権」ですが、普通のショッピングなどにも使えます。つまり、訪問販売などで何かを強引に買わされた場合にも、クーリングオフに加えて、この取消権が使えるわけです。
これを知らないために泣き寝入りしてしまう人も多いですが、知っていれば合法的に、その買い物や契約をなかったことにできるのです。
しかし、泣き寝入りする人が多い
実は、この未成年者の契約取消権のことを知っていて、業者や店に抗議をしても、言いくるめられてしまい、泣き寝入りする人が多いです。
未成年者本人が親に相談し、親が怒って業者に殴りこみしたものの、業者の迫力に負けて、そのまま帰ってしまう…ということが多いのです。これは別に金融業者などの「怖い職業」でなくても同じです。着物屋さんなどでも、しばしば見られる光景です。
日本人は、どうでもいい人まで尊重する悪癖がある
海外で生活していると痛感しますが、日本人は「どうでもいい人まで大事にする」という悪癖があります。これは美徳ではなく悪癖です。このせいで、日本人は海外でしょっちゅう詐欺に遭うのです。
未成年に対する強引な契約・販売をしている時点で、その業者の方が明らかに悪人なのです。彼らが「約束がどう」とか「道義がどう」とか言っても、全部蹴散らして無視すればいいんですね。
人に優しくすることは大事ですが「優しくする価値がある相手」に対してのみ、しなくてはいけません。こういう悪徳業者に対して優しくすることは、むしろ詐欺を横行させ、社会を悪くするのだから、優しく接してはいけないのです。それが彼らのためでもあります。
ということで、未成年者の契約取消権のことを知った上で、完全に戦うくらいのつもりで、こうした悪徳業者と交渉しましょう。