根保証とは?~1回借金完済しても、終わらない連帯保証~
借金について勉強していると「根保証」という単語が出てきます。根保証とは「一度完済しても、まだ保証人の責任が続く」というものです。この根保証の仕組みを詳しくまとめます。
一度の借り入れを完済しても、保証人の責任は終わらない
普通は、連帯保証人の責任は「借りた人が、完済したら終わり」と思うでしょう。しかし、根保証は違います。下のようになるのです。
- お金を借りたAさんが、無事完済する
- 連帯保証人のBさんが、安心する
- AさんがBさんに内緒で、また借りる
- Aさんは、実はこの借金でも連帯保証人になる
- しかしAさんは知らない
- 後日、Bさんが逃げて、Aさんに取り立てが来る
…という風です。わかりやすくあえて「Bさんが内緒で借りて、逃げた」というシナリオにしました。根保証が設定されると必ずこうなるわけではありません。要は「知らない間に、まだ責任が続いている」ということです。
何で、連帯保証人の責任が続くのか?
これは「繰り返し借りる人」のためのものです。「いや、借りるなよ」と思うかも知れませんが、事業などで必要なことがあるのです。
そして、この場合AさんもBさんの事業を応援していて「何度でも、連帯保証人になってやるよ」という覚悟なんですね。ただ、毎回手続きをするのは面倒です。そのため「今後ずっと、Bさんの連帯保証人になります」ということで「根保証」を結ぶのです。
根保証に期限や限度額はないのか?
当然あります。根保証には下の2種類があります。
- 包括根保証…期限も限度額もなし(無制限)
- 限定根保証…期限や限度額を制限する
…というものです。ほとんどの場合、当然ながら「限定根保証」にします。こうしないと先にも書いた通り、大変なことになりますからね。
どれだけBさんを信頼していたとしても、人間なので魔が差してしまうこともあるかも知れません。また、やむを得ない天変地異などの事情で、会社が倒産してしまう…ということもあるでしょう。
そのため、どれだけ深い中であろうと、根保証は「限定根保証」にしておいた方がいいのです。包括根保証は、完全に一蓮托生と決めた人物のみに、設定するものです。
連帯保証とは何か?単純保証との違い
「連帯保証人」という言葉はよく聞きますが、そもそも連帯保証とは何か。これを説明するには「単純保証」との違いを説明するのが一番です。
まず、貸金業者が保証人に対して「あいつが払わないから、お前が払え」と言ってきたとしましょう。その時、単純保証と連帯保証は、それぞれ下のようになります。
- 単純保証…「いや、あいつに言ってください」と言える
- 連帯保証…「わかりました。私が払います」と言わなければいけない
…ということです。つまり、連帯保証は「借り手と一心同体」のようなものなんですね。だから「連帯」なのです。深く連帯しているので、問答無用で払う必要があります。(単純保証は、払わなくてもいいんですね。裁判で負けたら別ですが)。
連帯保証は、複数人いても責任が分散されない
たとえばAさんが100万円借りるとします。そして、BさんとCさんに保証人を頼みます。この時、単純保証と連帯保証は、下のようになります。
- 単純保証…Bさん・Cさんはそれぞれ「50万円ずつ」の責任しかない
- 連帯保証…Bさん・Cさんは二人とも「100万円」の責任を負う
これを見て「連帯保証の方、合計200万円になってない?」と思うかも知れません。これは「Aさんだけでなく、Bさんまで逃げたら、Cさんが100万円負担する」ということです。
もしこれが「単純保証」だったら、Aさん&Bさんが逃げても、Cさんの責任は「50万円」だけなのです。
というように、ここでも連帯保証は責任が重くなります。つくづく、人の借金の連帯保証人になってはいけない…と実感しますね。単純保証でもあまりしたくないですが…。
借金の保証人を頼まれたら、基本的に断る
キャッシング情報サイトを運営していると、カードローン地獄に陥った人の体験談を多く読みます。その中で多いのは「人の借金の保証人になって…」というお決まりのパターンなんですね(他にもいろいろありますが)。
友達の保証人だったら「なるなよ、そんなもん」と思う人もいるでしょうが、「親戚の保証人で…」というのも結構あるのです。親戚だと、なかなか断りづらいですよね。
親戚ですらこういうことがある、というのは知っておくべきです。すべての人を疑う必要はありませんが、「親戚だって、裏切る時は裏切る」という、一種の覚悟のようなものは持っておくべきでしょう。
また、裏切らなかったとしても、事故で半身不随になって返済できなくなる…などのこともあるのです。くれぐれも、人の借金の保証人になるのはよく考えましょう。