リボルビング払いの仕組みと種類(1) ~定額・定率・元金・元利の意味~
【後編】リボルビング払いの仕組みと種類(2) ~残高スライド方式の意味~
リボ払いの種類は、大別して2通りです。よく「3通り」と言われますが、違います。以下、詳しく説明します。
リボ払いの種類
まず、リボ払いは下の2種類に分かれます。
- 定額方式
- 定率方式
そして、この2つの変形版として「残高スライド」方式があります。残高スライドが加わると、下のようになります。
- 定額方式
- 定率方式
- 残高スライド定額方式
- 残高スライド定率方式
つまり、「残高スライド=トッピング」です。
- 定額方式…うどん
- 定率方式…そば
- 残高スライド定額方式…きつねうどん
- 残高スライド定率方式…きつねそば
…という感じです。そして、この「定額方式・定率方式」が、さらに2種類に分かれます。
定額・定率どちらも「元金・元利」に別れる
まとめると、下のようになります。
定額方式 | 『元金』定額方式 |
『元利』定額方式 | |
定率方式 | 『元金』定率方式 |
『元利』定率方式 |
という風です。うどんとそばに例えるなら、
うどん | 温かい |
冷たい | |
そば | 温かい |
冷たい |
…ということです。そして、これに「きつね」が加われば、
温かい | うどん | 『元金』定額方式 |
冷たい | うどん | 『元利』定額方式 |
温かい | きつねうどん | 残高スライド『元金』定額方式 |
冷たい | きつねうどん | 残高スライド『元利』定額方式 |
温かい | そば | 『元金』定率方式 |
冷たい | そば | 『元利』定率方式 |
温かい | きつねそば | 残高スライド『元金』定率方式 |
冷たい | きつねそば | 残高スライド『元利』定率方式 |
…となるわけです。つまり、
- リボ払いの種類は『定額・定率』の2種類
- その2種類が『元金・元利』に別れるから、合計4種類
- その4種類が、さらに『そのまま or 残高スライド』に別れるので、合計8種類
…ということです。このように「3つの分岐点」で、8通りに分かれます。「リボ払いは3種類」というのは間違いです。「種類の分岐点」が3種類、というのが正解なんですね。
『定額』と『定率』の違い
たとえば、下のように決めたとします。
- 定額…毎月『1万円』払う
- 定率…毎月『10%』払う
そして、たとえば「1億円の借金」があるとしましょう。この場合、それぞれの月々の返済額は下のようになります。
- 定額…1万円。残高1億円だろうと、1万円。
- 定率…1000万円。10%と約束したのだから、1000万円。
そして、逆に「残高10円」の時は、こうなります。
- 定額…1万円。…と思ったけど、10円だからそのまま普通に完済。
- 定率…1円。10%と決めたのだから、それしか払わない。
という風です。「定率、完済できないじゃん」と思うでしょう。その通りです。定率方式は「完済できない方式」なので、最後で自主的に「一括返済」をする必要があります。
『元金』と『元利』の違い
この違いは「定額方式」だとわかりやすいです。
- 『元金』定額
- 『元利』定額
の2種類ですね。まず「定額」なので、両方とも「毎月1万円払う」と決めています。違いは「その1万円を、何に使うか」です。
- 『元金』の返済に充てるか
- 『利息』の返済に充てるか
ということですね。そして、
- 元金方式…『元金』の返済に充てる
- 元利方式…『利息』の返済に充てる
…ということです。で、実際の支払いはどうなるか。まず『元金』定額はこうなります。
『元金』定額方式
わかりやすく「セリフ」方式で行きます。全部同じ人(ジョン)がしゃべっています。
- 「お、月末か。今月も1万円払うぞ」
- 「全額元金に充てるぜ。これで…残り9万円だな」
- 「え?何?今月の利息を払え?チッ…いくらだ?」
- 「1500円?わかったよ。ほら、持ってけ」
…という風です。つまり、ここでジョンが払ったお金は「1万円+1500円」で「1万1500円」です。これが「元金定額方式」の払い方です。
で、次に「元利定額方式」はどうなるか、ポールの場合で見てみましょう。
『元利』定額方式
- 「さあ、月末だ。今月も1万円払うかな」
- 「まずは利息を払おう。今月はいくらだい?…1500円か」
- 「よし、まず1500円払おう。チャリーン」
- 「残り8500円か。よし、これは元金にしよう。チャリーン」
- 「8500円元金が減ったから、残りの元金は9万1500円だな」
…という風です。ここでポールが払ったのは「1万円」だけです。ポールの方が金額が少ないですが、代わりに「元金もあまり減っていない」ということです。
ジョン(元金)の方が大変そうですが、早く返済できるのは、ジョンの方なんですね。
以上、「定額方式」の場合に「元金・元利」の違いを説明しました。次に「定率方式」の場合の、「元金・元利」の違いを説明します。
『元金』定率方式
今回はジョージです。今月も爽やかな月末を迎えました。
- 「よし、月末だ。今月も『10%』払うぞ!」
- 「元金の残高は…1億円か。だいぶ減ったな」
- 「よし、1億円の10%だから…1000万だ」
- 「1000万円払います。チャリーン」
- 「え?利息も払え?…チッ、いくらだい?」
- 「500万円?…わかったよ。チャリーン」
…というのが「元金定率方式」。ジョンと似ているのに気づいたでしょう。
ジョージが払った金額は「1000万円+500万円」で、「1500万円」です。次に『元利』定率方式だと、どうなるか説明します。
『元利』定率方式
リンゴは目覚めた。爽やかな31日の朝だ。
- 「月末の朝は最高だな。さあ、今月も『10%』払おう」
- 「まず、利息はいくらかな…?500万円か」
- 「残高が1億だから、利息も含めて『1億500万円』だな」
- 「その10%だから…『1050万円』か」
- 「よし、1050万円払います。チャリーン」
で、リンゴの場合は続きがあります。受け取ったヨーコ(業者)が、こう計算するのです。
- 「リンゴから1050万円、返済が来たわ」
- 「リンゴの利息は…500万円ね」
- 「払われた1050万円から、500万円、利息に充てましょう」
- 「残りは…550万円ね。これを元金に充てましょう」
- 「これで元金の残りは…1億円ー550万円で、9450万円ね」
さて、ジョージとリンゴ、それぞれの元金(残高)はどうなったか。
- ジョージ…9000万円
- リンゴ…9450万円
…このように、ジョージ(元金)の方が、返済が進んでいます。これもさっきのジョン・ポールの時と同じパターンですね。
- 元金方式…「定額」でも「定率」でも、返済が早くなる
- 元利方式…「定額」でも「定率」でも、返済が遅くなる
…ということです。
計算の複雑度で比較すると…
説明で気づいたでしょうが、「計算の複雑さ」で比較すると、下のようになります。
- 元金定額方式(ジョン)…簡単
- 元金定率方式(ポール)…やや難しい
- 元利定額方式(ジョージ)…やや難しい
- 元利定率方式(リンゴ)…難しい
という風です。もし返済方法を選ぶことができ、「わかりやすい方式がいい」という場合、「元金定額方式」を選んでください。
続いて、これらに「残高スライド」が合体した場合を説明します。↓