「成約残し」になると、債務整理の喪明けでも、キャッシング審査に通らない

債務整理をした後、5年～10年はキャッシングやカードローンの審査に通りません。これを「喪中」と言いますが、この期間が終了することを「喪明け」といいます。

本来喪明けになると、クレジットカードやキャッシングの審査に通るようになるはずです。しかし、「喪明けになったのに、審査に通らない」ということがあります。

この原因の1つが「成約残し」です。ここではこの「成約残し」について詳しく説明します。

成約残しとは？

成約残しとは、簡単にいうと「債務整理しなかったことになっている」というものです。つまり「債務整理もせずに、借金をずっと延滞していた」という扱いになっているのです。

自己破産や任意整理をするようなレベルの借金を、実に5年～10年も、滞納し続けている…というデータになってしまうんですね。もちろん、実際は全然違う（債務整理した）のですが、個人信用情報の上ではそうなってしまうのです。

そんな状態では、当然カードローンの審査など通るはずがありません。このように「債務整理以前の、成約の情報が残っている」という状態を「成約残し」といいます。

しかし、なぜこの成約残しが起きるのでしょうか？

成約残しが起きる、2つの原因・理由

成約残しが起きる原因・理由は下の2つです。

1. 業者・ブランド・銀行がうっかり忘れていた
2. 業者・ブランド・銀行が意図的に登録しなかった

…ということです。前者については、やはりカードローン業者や銀行の人々も、人間なのでミスはあるでしょう。しかし、問題なのは後者です。

債務整理は、業者・ブランド・銀行が報告しなければならない

基本的に、借りている人が債務整理をしたら、業者・ブランド・銀行はそれを個人信用情報機関に報告する必要があります。

• CIC（シーアイシー）
• JICC（日本信用情報機構）
• 全国銀行個人信用情報センター（JBA)

の3つの組織のどれかですね。こうして債務整理などを報告した情報を「異動情報（事故情報）」と言いますが、業者がこれを報告しない限り、「最後の登録された情報」がずっと残っているのです。

その最後の情報が「滞納」だったら、「田中一郎は、2005年から10年間、ずっとこの業者で滞納し続けている」という風になってしまうのです。

業者はなぜ、わざと成約残しをするのか？

これは「自己破産された腹いせ」です。もちろん、そんなことをする業者はめったにいませんし、特にプロミス・アコム・SMBCモビット・アイフルなどの大手の消費者金融だったら、そんな非人道的なことはまずしないでしょう（多少自己破産されても、痛くも痒くもないからです）。

ただ、これが中小業者だと、自己破産などの債務整理をされるというのは、かなり痛いんですね。個人再生や任意整理の場合、まだ多少は払ってもらえるのでいいです。しかし、自己破産になると「完全帳消し」なので、業者としては踏んだり蹴ったりです。

自己破産されると、業者は手が出せない

実は、自己破産というのは「する方」が非常に有利なシステムなのです。これをされると、貸金業者の側はまったく手が出ないんですね。

サラ金などを扱った漫画だと、自己破産した利用者に対して、ヤクザな金融やさんが暴力で復讐する…という場面がたまに出てきます。しかし、あんなことは現実にはありません。誰だって、自分が警察に睨まれることはしたくないからです。

ということで、自己破産されたキャッシング業者は、泣き寝入りするしかないのです。そこでせめてもの復讐として、わざと債務整理の情報を異動情報として登録せずに「成約残し」にするわけですね。

成約残しを解除するにはどうすればいい？

やるべきことをまとめると下の通りです。

1. まず、個人信用情報の開示請求をする
2. 本当に成約残しになっていることを確かめる
3. 個人信用情報機関に「間違いである」と報告する
4. 確認が取れたら、解除される

…という風です。そもそも「成約残し」というのは思い込みの可能性もあるので、それを確認することから始まります。開示請求は、CIC、JICC、全国銀行個人信用情報センターのいずれでもできますが、請求の方法はそれぞれ違っています。

この点は長くなるので、それぞれの公式サイトで確認してください。パソコンや郵送でできるので、地方に住んでいても問題ありません。

個人信用情報を修正してもらうには？

この成約残しの場合は「○○年○月に債務整理した」という証拠を、一緒に提出すればOKです。証拠となる書類はいくらでもあるはずなので、問題ないでしょう。

もし業者がわざと成約残しをしていた場合、関連書類を請求しても、応じてくれない可能性（無視される可能性）が高いです。そのため、書類はできるだけ一人で揃えることをおすすめします（債務整理の書類だけでOKのはずです）。

というように、少々厄介ではありますが、自己破産というデメリットの少ない方法で借金がチャラにした以上、その後に多少厄介なことが待ち構えているのは、仕方ないかも知れません。貧乏だけはしたくないものですね。